遺品整理業は、人件費や処分費などの固定コストが大きくなりやすく、案件の大小に関わらず「利益が残りにくい」と感じている業者も多いのではないでしょうか。
しかし、ちょっとした工夫と見直しで、作業の質を保ちながらもコストを削減し、結果的に顧客満足度と利益率の両立を目指すことが可能です。
本記事では、実際に業界で取り入れられている具体的なコスト削減策とその実践例をご紹介します。
1. 廃棄コストの見直し:処分方法を最適化する
◼️ 【ポイント1】廃棄物の「分別精度」を高める
廃棄費用は「混合廃棄物の量」によって大きく左右されます。
可燃・不燃・資源系(紙・金属・プラ)などを現場で分けておくだけで、処分単価が最大2〜4割削減されるケースも。
👉 実践例
事前に分別用の袋をスタッフに配布し、現場でその場仕分け
作業前に「廃棄予定品リスト」を簡単に作成し、分別目安を共有
この取り組みだけで、1件あたり5,000円〜10,000円程度の処分費削減に成功している業者もあります。
2. 人件費の抑制:スケジュールと動線の最適化
◼️ 【ポイント2】“段取り八分”で作業時間を短縮
作業時間=人件費に直結します。
事前の下見や、写真情報だけでも作業動線や荷物の量を把握して段取りを組むことで、無駄な人員配置や待機時間を削減できます。
👉 実践例
前日にスタッフで「持ち出し順」や「積込配置」を決めておく
無駄な往復を減らすため、1階から順に完了エリアを分けて整理
結果的に、2人作業→1.5人分で終わることもあり、人件費の圧縮と作業効率の向上が両立できます。
3. 運搬費・車両コストの削減:案件ごとの効率を見直す
◼️ 【ポイント3】「近場案件の集約」「ルート化」でガソリン代と時間を削減
同じ市内で複数の見積もりが入ったら、同日にまとめて回る
作業と回収・処分場のルートを事前に最短経路で組む
遠方作業は軽トラックで最低限の持ち出し → 後日回収
👉 実践例
兵庫県のある業者では、週1日を「市内案件の集中処理日」として設定し、1日で2~3件を短時間で処理。車両1台の稼働費を半減させることに成功しています。
4. 在庫・備品管理による“ムダ”の削減
◼️ 【ポイント4】消耗品や梱包材の使いすぎを防ぐ
仕分け袋や段ボールの発注数を見直す
梱包資材は過去の実績から「現場あたり平均数」を把握
リサイクル資材の再利用(中古段ボール、パレット等)
👉 実践例
ある業者では、「整理し終わった家から出た段ボール」を再利用することで、1ヶ月で約8,000円の梱包コストを削減。
5. ITツールの導入で間接コストを削る
◼️ 【ポイント5】見積り・請求・顧客管理を“紙からデジタル”へ
見積書を弊社NRAシステムより作成し、QRコードでお客様へ共有
現場写真→クラウド共有、進捗状況を事務所と即時共有
会計・請求書はfreeeやMoneyForwardなども併用
👉 実践例
事務スタッフの作業時間を月10時間削減でき、年間で10万円以上の労務コストカットに成功した事例も。
6. リユース・買取の強化で“マイナス”を“プラス”に
◼️ 【ポイント6】ただ処分するのではなく「価値を残す」
骨董・ブランド・家電などは古物商として買取査定
不用品でもフリマアプリやオークションで再販する仕組みを整備
地元の福祉団体やリユース施設と提携し寄付先を確保
👉 実践例
家電リユースに力を入れている業者では、1件平均3,000〜8,000円の「買取による原価回収」が実現し、整理費用の実質削減と顧客満足度向上につながっています。
▶ まとめ:小さな工夫の積み重ねが利益を生む
遺品整理業は、感情や配慮が求められる繊細な仕事である一方、収益構造が安定しづらい業種でもあります。
だからこそ、業務の中で「どこに無駄があるか?」「改善できる流れはないか?」を見直すことで、大きな差が生まれます。
処分費を抑える
人件費と運搬コストを最適化する
ITとリユースを取り入れる
こうした取り組みが、「価格を下げなくても選ばれる業者」への第一歩です。
無理なく・現場に負担をかけずにできるところから、ぜひ改善を始めてみてください。
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